電脳筆写『 心超臨界 』

変化することは
真の学習がみな到達する最終結果である
( レオ・ブスカーリア )

不思議魂を現代科学につなげる研究へと発展させる――寺田寅彦

2024-04-01 | 03-自己・信念・努力
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 彼らの第4コーナー「寺田寅彦
  [1] 大病後、三足のわらじで歩む
  [2] 3人目の妻との葛藤
  [3] 「歩き方」教えた名伯楽
  [4] 不思議魂の源泉


《鏡を見ながら描く顔は左右を取り違えた別物になる》《二つの顔が似て見える要素は何によるのか》《セザンヌは一つ一つのリンゴの顔を見分けたに違いない》《正面の顔と横顔とを結びつけるのは難しいから、罪人の正面の写真を見た刑事は、横顔の当人を見逃してしまう》《人間の顔は動物に似ており、動物の顔が人間の顔を思い出させることがある》と顔をめぐる奇想天外な話を展開する。


寺田寅彦 [4]――不思議魂の源泉
【「彼らの第4コーナー」09.04.26日経新聞(朝刊)】

胃潰瘍(かいよう)で倒れた翌年の1920年9月、寅彦は「自画像」という随筆を書いた。

「今まで内側へ内側へと向いていた心の目が急に外に向き」。油絵で自画像を描くに至った心境をそんな風に述べながら、5枚の自画像を描く際に思い浮かべた疑問を次々書き連ねる。

《鏡を見ながら描く顔は左右を取り違えた別物になる》《二つの顔が似て見える要素は何によるのか》《セザンヌは一つ一つのリンゴの顔を見分けたに違いない》《正面の顔と横顔とを結びつけるのは難しいから、罪人の正面の写真を見た刑事は、横顔の当人を見逃してしまう》《人間の顔は動物に似ており、動物の顔が人間の顔を思い出させることがある》と顔をめぐる奇想天外な話を展開する。

晩年の科学研究でも、みずみずしい「なぜ?」の目を身辺に向けて切り込み、そこから発想を次々飛躍させる。

弟子の中谷(なかや)宇吉郎は『中谷宇吉郎集第1巻』の「文化史上の寺田寅彦先生」に、寅彦にとって科学も芸術も「渾然(こんぜん)と融合していた」と書く。寅彦本人も「科学者と芸術家とは、趣味と生活とが一致しているという点ではこれくらい似寄ったものはない」と語っていたと伝える。

生活のあらゆる側面に向ける不思議魂の源泉はどこにあったのだろう。

『寺田寅彦 妻たちの歳月』の著者、山田一郎さん(89)は、父親の利正と、熊本の五高時代の師、夏目漱石と田丸卓郎からの影響に着目する。利正は、幕末の土佐藩で起きた刃傷沙汰(にんじょうざた)、井口事件で切腹した弟の介錯(かいしゃく)をし、以来、気難しくなった。その呪縛(じゅばく)からか、寅彦は子どものころから寂しい陰を漂わせていた。それがかえって、独り自然を観察したり、深く考えたりする習慣を身につけさせる。

親元からはなれた五高では、夏目漱石から文学上、田丸卓郎から物理学上のものの見方や考え方を吸収。晩年の疾走に備えて知の体力を蓄えた。

①自分独自のものの見方で問題を発掘する②一つのことから無限に連想を広げる。二つの力に舌を巻くのは『寺田寅彦と現代』の著者で、総合研究大学院大学理事の池内了(さとる)さん(64)だ。観察力と連想力を備えていたから、不思議魂を現代科学につなげる研究へと発展させることができた、と言うのだ。

池内さんは、視野の狭くなりがちな現代人に寅彦流思考法のすすめを説く。身辺で起きる平凡な現象に目を向け、次々、関連する事柄を書きだしてみる。例えば「風が吹けば」から「カレーライス屋がもうかる」に至る物語を創作してみてもいい。

不思議魂を身につければ、晩年の寅彦のように、実りの多い人生を送れるに違いない。

(特別編集委員・足立則夫)

=この項おわり
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